浜名湖のボート事故

 人災以外の何物でもない感じを受けます。判断の誤りというよりは、素人集団の判断能力不足による事故でしょう。青年の家の指導員は、小型船舶くらいは持っていたらしいですが、あれはごく簡単な法規と実技だけでとれる免許です。きちんと安全性を確保した訓練計画を立案できるような人はいなかったんでしょうね。


特に、直接の事故原因となったえい航の失敗にいたっては、青年の家の所長は、

 ボートに20人を乗せたまま、えい航した点は「20人を移すのは(定員上)無理な話。その時点では妥当な判断」との認識を示した。

とか

 「早く岸に戻したいという気持ちも働き、少しスピードが上がったのではないか」

などと言っていたそうです。えい航の危険性をまったく認識していなかったのでしょう。

通常であれば、多少の波があっても、波に乗って(波とともに)動くことによって、力を逃がすことができます。しかし、えい航索によって舳先を固定された状態で船腹を突き上げるように波がくればどうなるか、小学生でも分かる理屈です。


所長の発言は、文字通りに受け取れば、船酔いと寒さの場所から「学生を早く返してあげたい」という責任感と善意のあらわれです。さらに言えば、えい航の危険性に対する無知であり、善意であれば許される、という考えも見てとれます。悲しいことですが、こういう「善意のバカ」が人を殺すんだなぁ、とあらためて思いました。