今朝の新聞で、いまさら東武運転士の解雇のニュースを知りました。運転士の行為自体については、弁護する気はさらさらありません。その点についてはhttp://blog.goo.ne.jp/uraita/e/26eb12cc24afa5bc5e0a3192619cac75に書かれたのとまったく同じ意見ですね。できれば、そんな電車には乗りたくありません。処分についても、厳しすぎるから会社に抗議する、という気にはなれません。ただし、解雇処分については「重すぎるんじゃないの?」と感じました。というか「会社側がこんなに厳しく処罰していいの?」という疑問を感じましたね。(決して「厳しすぎてかわいそう」とかじゃありませんからね。念のため。)

刑法をちょっとでも学んだ方はご存知と思いますが、罪刑法定主義(刑法6条だったかな?)というのがあります。要は、どんな犯罪が処罰されるのか、その刑罰はどの程度なのか、予め決めておかないといけませんよ、後出しで法律作ってはいけません、ということです。前例のないものについては毎回そうなのですが、今回の処罰についても、後出しの感が少なくありません。
むかしは、こっそり運転士さんに中に入れてもらったりすることも、それほど珍しいことではなかったようです。その時代なら停職くらいで済んでいたかも知れません。それを思えば今回の処置は不意打ちをくらったような気もするでしょう。しかし、JR西日本福知山線の事故の記憶はまだ新しいです。会社側も厳しく処分せざるを得ません。この状況では後出しとばかりも言えません。
それにしても、「解雇」なんていう厳しい処分をするんだから、やはり会社側も罰則規定をしっかり作っといてもいいように思います。事が起こってから慌てなくてすみますし。

今回、会社側の人間は特に引責辞任なんていうハナシもないようですが、運転士を解雇にするなら、管理責任を誰かがとらないとバランスを欠くように思います。結局、安全面での問題で「解雇」されるような運転士を放置していたのは会社側なのだからして。でなければ、運転士自体の処分ももう少し軽くてしかるべきでしょう。大体にして、3歳の幼児を運転室外に出すという簡単な行為と運転室内に入れたままにするという行為を正しく比較判断できなかった訳です。とすれば、他にも色んな判断ミスが普段から見られた可能性が高いと考えられます。もともと運転士としての適性に欠けていたのではないか。そういう人だったとすれば、これを放置していた会社側の管理責任の方が問題な気がします。

ところで、この処罰について
(1)乗客の安全を担っているのだから解雇は当然。
(2)規則を破ったのだから解雇は当然。
(3)解雇が厳しいなんていう奴はケシからん。
といった論調の方も多いようですが、こういった議論を不可能にする論調はカンベン願いたいな、と思います。

まぁ(3)は論外としても、(1)や(2)は「だから」でつながるもんじゃありません。これが「つながる」と思う人は、桶屋が儲かる原因は風が吹いたからだ、と思うんでしょうね。運転士の行為が解雇という処罰に値する行為だったのかを、もうちょっとマトモに検討してほしいな、と思います。(1)も(2)も一般の自動車ドライバにも、そのまんまあてはまるような内容です。解雇当然派のみなさんは、一度もスピード違反したことないんでしょうかね?